【実録小説】花笑みの村〜みちのく純情物語


パチンコ攻略法.jpg
天才医師と才色兼備の夫人、熱血村長と素朴で優しい村人たちが紡ぎ出す感動の人間模様!

リクエストに応えて

  昨年の暮れに【実録小説】逆転の聖夜(リヴィエラ倶楽部のクリスマスメッセージ2024)を発表して以来、当ブログの更新が途絶えておりました。

 リヴィエラ門下生最強攻略法・海殺しXの購入者)の皆様からの熱烈なラブコールに負けて、このたびは重い腰を上げて超大作を執筆致しました。

リヴィエラ倶楽部事務局.jpg 前作(冒頭のリンク)は、パチンコ以外の記事としては異例の好評を博しました。

 その後、同様のドキュメンタリータッチの読み物を希望される方々が後を絶ちません。リクエストに応えるべく、このたびも心の洗われる話を紹介させていただきます。調査を行った上で執筆した実話ベースの読み物ですので、通常のフィクション作品にはない感動を味わえるはずです。

 ストーリー全体に通底するものは登場人物の「純情」です。

プロローグ 

 舞台は1980年代、三陸海岸(岩手県)のとある村。盛岡駅から車で2時間半もかかる「陸の孤島」は農林水産業以外の産業はなく、これといった娯楽もない寂れた場所で村人たちの大半は極貧の暮らしに喘いでいた。

この村に生まれて

パチンコ攻略法.jpg 村長の早見将平(仮名)は活気のない村役場で無聊をかこち、煙草をくゆらせながら書類に決済印を押すだけのつまらない職務に耐えられなかった。彼は村の大改革に着手して、村人たちが「この村に生まれてよかった」と言ってくれる日が来ることを熱願した。

海の絶景

田野畑村の海岸.jpg 早見は手始めに観光事業を興した。何もない村ではあるが、海の景観の美しさにかけてはどの田舎にも負けない。海に面して屹立する断崖絶壁は海岸の景色としては世界有数の眺望と言っても過言ではない。高さ200メートルの断崖が8キロも続く絶景を観光客誘致に利用しない手はない。

 早見は自ら産業振興プロジェクトの先頭に立ち、遊覧船の創設やリゾートホテルの建設を実現に漕ぎ着けた。

観光客の急増

海殺しX 値段.jpg 観光客狙いのレストラン、食堂なども次々とオープンした。リゾートホテルに続いて純和風旅館も立ち並び、村は早見の思惑通りの賑わいを見せた。マスコミの過熱報道の恩恵に浴して、夏には無数の観光客が押し寄せるようになった。

 このプロジェクトの成功によって偉勲を立てた早見は全国町村会の常務理事に推挙された。しかし、彼は社会的名声には一切関心のない男であった。

いまだ成らず

三陸海岸.jpg 増え続ける観光客によって、かつては見向かれることのなかった生まれ故郷に全国民の注目が集まり、メディアの取材を受ける機会が増えたことは純粋に嬉しかったが、富裕な観光客と依然として厳しい生活を続ける村人たちとの間には巨大な壁が立ちはだかり、肩を落とす日々が続いていた。 

 早見は観光事業の成功は起死回生の第一弾にすぎず、夢の実現まではまだまだ遠い道のりが続くことを覚悟した。

歴然たる格差

感動小説.jpg 地元の漁師が汗水垂らして捕獲した魚介類の一部は観光ホテルや高級レストランに流れる。海産物を素材にした絶品料理は地元住民には手の届かぬ価格がつくが、それに動じる様子もなく、平気で幾つも注文する客たちからは汗の匂いすら漂わない。

 汗びっしょりになって一日の仕事を終えた料理人は客が残した魚をサランラップに包んで家に持ち帰る。

 注文を承るウェイターは汗だくだくになって慣れない標準語を話してはいるが、強烈な東北訛りが抜けず、客からは蔑みの視線を投げかけられる。 

梅の蕾.jpg 観光客と地元住民を隔てる分厚い壁は高さ200メートルの断崖を思わせた。早見は好調な産業発展を喜びながらも、足元を見つめる努力を怠らなかった。

無医村の悩み

 村の健全な発展にはインフラの整備が不可欠である。村人たちに憲法が保障する健康で文化的な生活を享受させるための最重要インフラは医療施設であった。 

田野畑村診療所.jpg
 無医村地帯の一つであったこの村は、救急車を呼んでも最寄りの病院に着くまでに1時間はかかる。応急処置さえ施せば大事に至らない病でも、搬送中に容態が悪化して命を落とす高齢者が後を絶たなかった。

名ばかりの診療所

 早見は公営診療所をただちに設置した。これは旅行中に体調を崩した観光客のためにも必要であった。無医村の観光地で旅行中に死んだ人の噂でも立てば観光ブームに水を差す。

東北リゾート.jpg 国民健康組合を後ろ盾に開設された診療所は歯科部門と医療部門から成った。歯科医は簡単に見つかり定着した。早見を悩ませたのは医療部門の方であった。安月給と刺激のない田舎暮らしに辟易するのか、着任した医師がすぐに辞めてしまう。 

三陸海岸リゾート.jpg 医師募集の求人広告は出し続けていたが、連絡してくる医師は一向に現われなかった。診療所が雇ったワゴン車の運転手は長期休診中とは知らずにこの場所を訪れる患者を近隣の病院まで送迎することだけを唯一の業務とした。

苦悶の日々

 「問い合わせをしてくるお医者様は全くいないのか?」 
 毎日のように部下に尋ねることが早見の朝一番の日課となったが、部下からはその都度、諦念に満ちた反応が返ってくるだけであった。無理もない、と彼は思った。

ホルコン攻略.jpg 医師の免許を持つ者には引く手あまたの就業機会がある。業績のある者は権威ある医療機関への就職を試み、エリートの道を歩む。やり手の者は「名」より「実」を選び、立地条件の良い場所に個人経営のクリニックを立ち上げ、巨万の富を築く。

 村役場では、医療部門の閉鎖もやむを得ないという意見が出始めていたが、早見は藁をもすがる思いで劣悪な労働環境を甘受する世捨て人的な医師の出現を待った。

理想の医師像

 能力は高くなくてもよい。二流、三流の医師でもよい。村人に慕われ、彼らに安らぎを与えてくれる医師が欲しかった。いつでもお目にかかれるお医者様が存在するという安心感があるだけで、老人たちは憂うことなく余生を全うすることができる。

リヴィエラ倶楽部.jpg 都会の喧騒に嫌気がさし、のんびりとした田舎暮らしに憧れる変わり者の医師も広い世の中にはいるはずだ、と早見は思った。

 医師の給料としては惨めな額であるとしても、この村では最高峰の月収である。独身の若い医師であれば、結婚するまでの間はわりと贅沢な暮らしを営める。

好転の兆し

 早見の希求的願望は思いのほか早く実現した。ある日の朝、観光課の係長、工藤という男が村長室のドアを叩いた。

ホルコン出玉制御.jpg 「失礼します」
 と軽く挨拶をした後、彼は興奮を抑え切れぬ声で
「村長、診療所の求人に一件の問い合わせがありました!」
 と叫び、応募者の履歴書を早見に手渡した。

 「凄い経歴ですよ。こんな先生がこの村に来て下さるなんて!」
 工藤は早見の悩みを身近で見てきただけに彼の顔を少しでもほころばせたかった。そんな工藤の気遣いには感謝しながらも、早見は彼に冷ややかな視線を投げた。そして
「君はまだ若いな」
 と呟いた。

輝かしいキャリア

 履歴書によれば、応募してきた医師、梅澤 誠(仮名)は45歳、某国立癌センターの要職に就いている。一般人には理解し難い題名のついた過去の執筆論文が山ほどある。家族は「妻と息子三人」とある。

医者が主人公の小説.jpg 二流、三流の独身医師を想定していた早見にとって、梅澤のキャリアと家族構成は理想とは懸け離れたものであった。

 貧しい村にとっては本来の理想が忌まわしきものであることを、早見は村に根付かなかった過去の勤務医の実例から痛いほど思い知らされてきた。

 「こんなに偉いお医者様が一家でこの村に引っ越して下さると君は思うのかね? この給料で子供三人だぞ。サラリーマン並みの生活しかできないじゃないか」
「たしかに妙ではありますが、履歴書まで送ってきたのですから本気ではないでしょうか」

 工藤とこんな会話を交わした後、早見は梅澤という医師が相当な変わり者であれば、あり得ない話でもないと思った。

疑惑

短編小説 名作.jpg 工藤の話によれば、梅澤はこの村の観光事業の成功を称えた全国紙の特集記事を見て感動したという。その記事には「村興しが順調に進んでいるこの村にも大きな悩みがあり、公営診療所で働く医師が見つからないことに役場は焦慮している」とも書かれていた。

 この記事を読み、涙ぐんだ梅澤が衝動的に村の観光課に電話をかけ、言われるままに履歴書を送り、今頃になって自分の軽率すぎた行動を悔やんでいることを早見は危惧した。

新たな不安

 この裏読みが当たっていれば、梅澤は求人広告すら見ておらず、給与額も知らぬものと思われる。

本物の攻略法.jpg 医師は自分たちはどこでも高く売れると自惚れている。賃金に地域格差があることくらいは知っていても、現在の高額月収がせいぜい10万円か20万円ダウンする程度に過ぎないと思っているかもしれない。

 早見はエリート医師が手にする給与額の相場を知らなかったが、本当に梅澤が国立癌センターを辞めて村の診療所に転職すれば、ひと月に10万円、20万円レベルの減収ではすまされず、現給与の二分の一、下手すれば三分の一になってしまうことを案じて頭を抱えた。

吉か凶か

 しかし、可能性は低いとはいえ、梅澤と面会して自分の熱意を示せば、新聞記事に感動するような涙もろい男であるので、待遇などは度外視して一世一代の決断をしてくれるかもしれぬ、と早見は淡い期待に胸を膨らませた。

田野畑村を舞台にした小説.jpg と同時に梅澤という男が自分の方から不採用を言い渡たせねばならぬほど欠陥だらけの人物であることも覚悟した。

 経歴に偽りがなければ、医師としての最高ポジションを自ら放棄するという話には何か裏がある。人格的に致命的な欠陥を抱えていて、周囲との折り合いがつかず、一国一城の主として気楽に働けそうな村の診療所を梅澤が選んだのであれば、そんな人物は御免被りたいと早見は思った。

診療所の意義

 技能に如何に優れていようとも、診療所で高度な手術をするわけではない。ここで働く医師が重責を負って患者の生死を左右するような決断を下さなけければならないというわけでもない。厄介なケースは県立病院に回すのがこの診療所の慣わしであった。

岩手県観光地.jpg 長い間、無医村の状態に苦しみ、常にその不安と向き合ってきた村人に診療所の医師が精神的支柱になることを早見は望んだ。たとえ医師の技量が一流とは言い難いものであるとしても。

 先見の明に長けた早見は予防医学の概念がまだ一般に浸透していなかったこの時代に「病を治すこと」より「病にかからぬこと」が健康維持の秘訣であることを知っていた。大病の早期発見に重点を置いていたのである。

エリート医師初見参

 数日後、村の下見を兼ねて梅澤が来村した。早見の杞憂はたちどころに消えた。

無料パチンコ攻略法.jpg 長身でハンサムな梅澤は村人たちにはない都会人のオーラを強烈に放っていたが、一部の観光客に見られる気取った態度が微塵もなく、田舎者を上から目線で見下ろす嫌味たらしい優越感も全く感じられなかった。非常に物腰が柔らかく、類稀な人格者であることが言葉の節々から滲み出ていた。

 早見が村の数多の窮状に言及するたびに梅澤の目には涙が浮かんだ。それを隠そうとして、別の方角に顔を逸らす梅澤の仕種に早見は好感を抱いた。

謙遜の鏡

 早見は梅澤を「本物の大人物」として一目置いた。

吉村昭の小説.jpg 全国町村会の会合などを通じて、自分の肩書の多さや成し遂げた功績をやたらと誇示する卑しい人物を、早見は飽きるほど見てきた。しかし、梅澤の口からはそのような吹聴が一切出ない。そればかりかこちらが恐縮してしまいそうになるほど礼儀正しく、謙遜を絵に描いたような人物であった。

 恐る恐る給与面の話を持ち出した早見であったが、梅澤は全く気にする様子もなく、拍子抜けした気分になった。後は奥様次第だ、と早見は思った。

色白美人

 梅澤に同行していた春美夫人(仮名)は千葉県木更津市出身の色白美人であった。年齢は30 代後半であったが、トレンディードラマで見かける女優のような華があり、実年齢よりも遥かに若く見えた。

カリスマ医師.jpg 木更津の近隣にサーフィンの聖地、釣ヶ崎海岸があることから早見は彼女が黒いサングラスをかけてサーフボードを手に颯爽と歩く姿を勝手に想像した。

 突然、春美夫人がこの辺鄙な村への移住に強硬に反対する最悪のシナリオが目の前にちらつき始めた。後日、梅澤から「今回の話はなかったことにして下さい。実は女房の同意が得られなくて・・・」と言われそうな気がして、急に心拍数が上がった早見は不意に襲われたこの不安から一刻も早く逃れたかった。

懸命な祈り

 早見は工藤を呼び、
「今すぐに車を出して、先生ご夫妻を風光明媚な場所にお連れしろ」
 と命じた。日頃から早見を慕っている工藤はこのような流れになることを予期していて、事前に観光名所の案内計画を綿密に練っていた。

パチンコ攻略ブログ.jpg 工藤は限られた時間の中で近隣に散在する景勝地や歴史的に由緒ある場所を効率良く回り、車中で交わされる早見と梅澤夫妻の会話にそっと耳を傾けた。運転をしながら彼は絶えず祈っていた。この医師が春美夫人の説得に成功するように、と。

不安ふたたび

 梅澤夫妻との会話中、早見も同様の祈りを天に捧げていた。村の観光名所について熱っぽく語るたびに梅澤は好反応を示すも春美夫人の表情は暗く、口数も少なかった。恐れていることが現実になりそうだと感じた早見の体は次第に硬直した。

海物語極JAPAN.jpg それからかなりの月日が流れたが、梅澤からの連絡はなかった。

 すでに諦めていた早見は自ら電話をかけて梅澤の最終意志を確認する気にはなれなかった。春美夫人への説得に難儀しているのに違いない。苦しんでいる梅澤に「結局、どうされますか?」と追い打ちをかけるようなことはしたくなかった。

運命の出逢い

 早見は梅澤という心の澄んだ大人物と出逢えただけでも幸せであった。

PA海物語3R2.jpg このような邂逅も何かの縁(えにし)に違いない。仕事としては不発に終わったが、慈しみ深い人柄の梅澤とは個人的にはウマが合った。早見は今後も何かの折にプライベートで梅澤に会いたいと思った。さしあたり、全国町村会の会合で上京するタイミングで梅澤と連絡を取り、盃を交わし合うことを早見は夢見ていた。

倦怠

 役場の者も早見に梅澤の件に関して一切尋ねなくなった。土台、無理のある話だったのだ。背が高く映画俳優のような風貌の梅澤とトレンディー女優のような華やかさに包まれた春美夫人がこんなみずぼらしい村に来るわけがないのだ。

足ることを知る.jpg 鎌倉時代の武将、楠木正成の残した名言、「足ることを知り、及ばぬことを思うな」がこれほど身近なものに感じられたことはなかった。

 役場全体に諦めムードが広がっていたある日、梅澤から村長宛の電話があった。

奇跡

 緊張で体がこわばった早見に梅澤が放った言葉は意表を突いた。
「こんなに待たせてしまったことをお許し下さい。ついに家内が私の説得に折れました」
 早見の心を見透かしているような言い方であった。不覚にも、早見は泣いた。

 奇跡が起きたと思った。二流、三流の医師でも構わぬから人情味溢れる人をと願っていたのに、人格、技量ともに超一流の医師が診療所に赴任する!

パチンコの勝ち方.jpg 電話を切った後、早見は若い工藤の所に真っ先に駆け寄り、梅澤夫妻が村への移住を決意したことを伝え、彼の労をねぎらった。

 周囲からは歓声が上がり、何事かと部屋から出てきた助役以下の重役も瞼を濡らした早見の顔と「よかったですね、村長さん」と声をかける女子事務員の様子から診療所の新所長が見つかったことを知った。

大車輪の活躍

 一家で村に移住した梅澤の働きぶりは想像を絶するものであった。これ以上にないほど丁寧に一人ひとりの患者と向き合い、小さな診療所で働く医師の範疇を超越した目覚ましい活躍を見せた。

パチンコ完全確率はうそ.jpg 県立病院に送らなければならない難病患者に出会った時、梅澤は一丁上がりとばかりにたらい回しにすることを潔しとはせず、県立病院の医師に的確なアドバイスと指示を与えた。

 早見は診療所の電話の近くで梅澤と県立病院の医師との会話を聞く機会が幾度かあったが、梅澤が何かを教示していることが多く、どちらが大病院の医師なのかと見紛うほどであった。

 精密検査用の医療機器を備えていない診療所ではあったが、梅澤の眼力の鋭さは天才的であった。

パチンコ ボーダー理論では勝てない.jpg 複数の病が考えられるケースであっても、梅澤の直感的判断は間違うことがなかった。本格的な検査を行う前に病の正体を見抜いてしまう。時には自分も県立病院に行って手術に立ち合うこともあった。

 県内の医師たちは自分たちとは別世界の領域に生きる梅澤を神がかった万能医師として崇めるようになった。

 梅澤の噂はたちまち四方八方に拡散して、梅澤は多数の医師から相談を持ちかけられるようになった。梅澤は無償で気軽に応じた。

海殺しX検証.jpg 梅澤は自分と親しい眼科医を診療所に出張させ、数日間の集中診療なども実施した。
  
 診療所の勤務医にここまでの働きを求めていなかった早見は安月給でも仕事に手を抜かない梅澤に畏敬の念を抱いた。

患者からの崇敬

ホルコン出玉調整に気づいた瞬間.jpg 梅澤は診療所に通う患者からも崇敬された。人格的に申し分のない梅澤が村人に愛されることを早見ははじめから確信していたが、村役場の幹部の中には梅澤と面識のない者もいて、写真だけ見て、端正な顔立ちの梅澤をいい加減な遊び人と決めつけたりしていた。しかし、村人から伝わる梅澤の高潔な人柄を聞くに及び、自分自身の不明を恥じた。

看護師の献身

ホルコン攻略法.png 診療所で働く看護師たちは梅澤を父のように慕い、全身全霊で梅澤の活動を支えた。

 彼女たちの中には東京や仙台の大病院で勤務した経験を持つ者もいたが、長続きはしなかった。名医とちやほやされる都会の医師には傍若無人のならず者が多く、パワハラ、セクハラの被害に遭って泣きながら村に戻ってきたのである。

梅澤哲学

 梅澤には揺るぎない信念があった。それは優秀な看護師が優秀な医師を育てるという思想であった。

 新米医師は注射の打ち方すら心得えない。手慣れた手つきで注射する看護師のやり方を観察しながらコツを掴む。

海物語シリーズ 勝ちやすい.jpg ベテラン看護師の中には若い医師が誤った判断に傾きかけたり、頓珍漢な医療行為をしでかしそうになると、タイミングよく「先生、ちょっと」と声をかけ、患者に悟られぬよう別室に誘導してから医師にすべきことの「正解」を教える猛者もいる。

 医学部で学んだことはなくても、長年の現場経験を通じて、パターン化された案件は頭に叩き込まれているのである。

 看護師を自分たちよりも遥かに格下の階級と見做す医師たちに梅澤は嫌悪感に近い感情を抱いていた。

 医師と看護師とでは収入に雲泥の差があるが、それは責任の重さの違いから来るものである。収入が人としてのランク付けにつながると信じていたかつての同僚医師を梅澤はある種の知恵遅れであると見做していた。

海殺しX口コミ.jpg 梅澤は不遜な同僚たちに「その論法で行けば、素人同然の未熟な歌唱力しかないのに億単位の年収を稼ぐ人気アイドル歌手よりも、君たちは人としての等級が低いことになるな」と皮肉ったこともあった。

骨休め

 診療所は連日にわたり、大勢の村人たちに埋め尽くされたが、台風や大雨の日はさすがに来る人が少なく、梅澤と看護師たちには骨休めの機会となった。

ホルコン出玉管理.jpg 強烈な風雨が診療所の窓を殴りつけた初秋の寒い日に梅澤は給湯室でお湯を沸かしていた。

 お盆に人数分の湯呑み茶碗を乗せて看護師たちの部屋に運んだところ、美津子という熟年の看護師が急に立ち上がり、「先生、ごめんなさい!」
 と金切り声で叫んだ。

 いつも自分を支えてくれる仲間にお茶を汲むのは当然と考えていた梅澤は美津子の悲痛な叫び声の意味を理解しかねた。

 何秒かの沈黙の後、漸く梅澤は通常の社会的序列を思い出し、本来は看護師が目上の医師にお茶を差し出すべき立場なのに気が利かぬために上司の手を煩わせてしまったことを美津子が深く詫びていることに気付いた。

婦長役

パチンコに勝つためにすること.jpg 美津子はここで働く最年長の看護師であった。ちっぽけな医療機関であるため、婦長のような制度は設けていなかったが、キャリアの長い美津子を他の看護師は事実上の婦長として敬服していた。

嵐の説教

 美津子は若い看護師に範を示せなかった自責の念に駆られていた。

 各自にお茶を配り終えた梅澤は美津子に座るように促し、優しくも威厳に満ちた声で諭し始めた。

スーパー海物語IN沖縄6.jpg 「皆さんは医師と看護師の関係を社長と秘書のようなものと勘違いしていませんか? 普通の病院ではそうかもしれません。しかし、ここは私が最高責任者です。旧来の因習は完全に排除します」
「・・・・・・」
「私が医術のプロとすれば、皆さんは看護のプロです。大きな病院にはレントゲン技師を始めとする検査のプロもいます。本来、病院とはプロ集団なのです。患者の生死に直接かかわる医師職に就く者は最も重大な使命を担いますが、他分野のプロの協力なくしてこの使命は全うできません。医師と看護師は互いに仕え合う関係でなければなりません。今日からこのことを我々の共通認識にしましょう」
「・・・・・・」
「頭は良くても手先の不器用な私が不慣れな包帯巻きなどをして、四苦八苦している時はいくらでも叱りつけて下さい!」

 静寂な部屋に激しい雨音だけがしばらくの間聞こえていた。

 梅澤の説教を看護師たちは真剣に聴き入っていたが、最後はおどけて「頭は良くても」と敢えて無用な挿入句を差し込んだ梅澤の諧謔(かいぎゃく)を一同は笑うに笑えず、珍妙な空気が流れた。

パチンコ・ボーダー理論からの脱却.jpg 梅澤の理念に感銘を受けた美津子は、勇気を奮い起こし、
「承知致しました。看護関係の事柄に関しましては、ロートルの私が先頭に立って先生に指南致します」
 と遠慮がちに言った。緊張がほどけ、漸く皆が微笑むと、梅澤は
「何卒お手柔らかにお願い致します」
 と言って頭を下げた。

村の太陽

将基面誠.jpg この村にとって、梅澤の出現は暗闇の世界に太陽が昇るが如き慶事であった。

 早見は診療所に通う村人たちの笑顔を見るたびに自分の苦労が報われる思いであった。気がかりなことは春美夫人と息子たちが果たしてこの村に馴染めるかどうかという一点に尽きた。

快活な息子

 人口五千人の寒村である。仕事柄、顔の広い早見は村の要職者のほぼ全員を知っていた。早見は梅澤の上の二人の息子が通う小学校の校長に訊いてみた。

将基面 誠 息子.jpg 校長と言っても、都会の小学校の校長とは異なり、1年生から6年生までの全児童の動向を把握している。
  
 校長は梅澤の長男も次男もクラスの人気者でガキ大将として仲間を連れて山や海を走り回り、充実した日々を送っていると語った。

裏山歩き

 秋色の深まった日曜日、早見は裏山の散策中に春美夫人の姿を見かけた。彼女は自分よりもひと回りほど若い村の娘二人と山菜採りに精を出していた。

パチンコデータ分析.jpg 背中に籠を背負い、掴み取った山菜を籠に投げ入れる姿は田舎っぼいがサマになっていた。春美夫人に黒いサングラスとサーフボードをイメージしていた早見は面食らった。  

 早見の姿に気付いた春美夫人は
「私どもにこの素晴らしい村とのご縁をつくって下さいましたことに心よりお礼申し上げます」
 と奥ゆかしい言葉で丁重に礼を述べ、深々と頭を下げた。

海物語 初心者 攻略法.jpg 移住にあたり、梅澤が必死になって説得した事実を知っている早見は春美夫人の予想外の言葉に驚いたが、外交辞令のようには聞こえなかった。早見は「ありあまる光栄です」とお辞儀を返した。

 実際に春美夫人は幸せに見えた。彼女は嬉々として山菜や野生の花々を摘んでいたし、ひと回りも若い娘たち二人とも十分に溶け込んでいた。幼い頃から同い年の親友として常に行動を共にしているこの二人を早見は「二人娘」と呼んで可愛がっていた。

田野畑村の植物.jpg 最も意外に思えたことは春美夫人が植物全般にわたって造詣が深く、二人娘にいろいろな専門知識を授けていたことであった。

 「これは何科の植物で・・・」と春美夫人が言うたびに、二人娘は教師に引率されて課外授業に参加している生徒のように従順に耳を傾けていた。

お茶目な二人

 早見は二人娘にも声をかけた。
「おい、お前たち、春美さんは華やかな都会暮らしを捨てて、この村に移住されたんだぞ。地元で生育する植物についてお前たちが春美さんに教えてやらねばならぬのに、逆に教わっているとは何事だ!」

田野畑村 散策.jpg 早見の荒っぽい言葉に二人娘はあどけない顔に笑みを浮かべ、そのうちの一人が早見をからかった。
「私たちの成人式の時に『大人になってからも恥ずかしがらずに何事も人から教わりなさい』とスピーチされたのはどなたでしたっけ?」 

 これには早見も参った。何年か前の成人式の式典で壇上から新成人にそのように督励したのは自分であった。

純文学 名作.jpg「・・・俺が悪かった。今の暴言を許してくれ」
 と早見が素直に詫びると、もう一人の娘が慰めた。

1円パチンコ攻略.jpg「謝る必要なんてないよ。私たちは村長さんの飾らない人柄と純情な性格が好きなの。次の選挙でも友だちをかき集めて組織票を作ってあげるからね」

 涙腺の弱い早見は言葉を詰まらせながら「ありがとう」とだけ言い、心の中で「純情なのはお前たちの方だ」と呟いた。何年も前の成人式の来賓スピーチを記憶している殊勝な奴がどこにいるか、と彼は思った。

村の至宝

 二人娘と春美夫人と別れた後、早見は岩陰で嬉し泣きした。

 この村に生まれてよかったと村人たちに思わせることが村長としての終生の目標であったが、ひと足先に自分自身がこの村に生まれてよかったと実感するとは思ってもみなかった。

パチンコに勝つための立ち回り.jpg 自分が二人娘と親しげな会話をしている時、春美夫人の表情は驚きに満ちていた。行政府の長と一般住民との間の距離の近さに春美夫人が腰を抜かさんばかりに驚いたことは間違いない。

 早見はこのような何気ない日常のひとコマにこの村の魅力が潜んでいることに気付いた。優しさと思いやりを常に忘れぬ村人こそが何ものにも代えがたい至宝であることにも。

人心には勝てぬ

 工藤と共に梅澤夫妻に村内の名所を案内した時、春美夫人は終始、陰鬱な表情を崩さなかった。美しい景色も美しい建物も、美しい人心には敵わない。

パチンコ攻略法販売.jpg 邪悪に染まらぬ純な心がこの村の住人にはあった。

 文化的に価値のある建造物を見せても少しも心を動かされなかった春美夫人であったが、気の置けない友ができて、水を得た魚のように、溌剌(はつらつ)としてきた。

優れた倫理観

 春美夫人の経歴までは知らぬが高学歴の梅澤の伴侶ならばそれなりの知識や教養を備えているに違いない。

 一方、春美夫人と遊んでいた二人娘はいずれも高卒である。しかも競争率が異常に低く、受験さえすれば誰もが合格可能な低偏差値校の出身である。明らかに春美夫人とは釣り合わないが、早見はこの二人を村の誇りであると自負していた。

青少年向け おすすめ小説.jpg 二人とも倫理観に優れている。大人になっても世の悪習に染まらぬ強固な意志を有している。

狂気

 すでに当選4期の長期政権に入っている早見は初当選直後から村の隅々まで走り回り、村長職に必要な人脈を築いてきた。その過程において、行く先々で出会う面会者の子女たちとも親しくなった。

パチンコ攻略サイト.jpg 「次の選挙でも巨大な組織票を作ってあげる」と塩らしい言葉を吐いた娘の名は理沙という。

 理沙が小学生の頃から早見は彼女を知っていた。私利私欲がなく、村人たちのために常に全力を尽くす村長を尊敬していた理沙は、選挙権が与えられる成人になってから早見に投票することを本人の前で約束した。

海物語魚群攻略法.jpg 早見は子供にもわかる平易な言葉で理沙に自分の政策を訴えた。もはや狂気の沙汰である。たった一人の学童、未来の有権者に真面目に政策を語った早見も、遠い将来の投票に備えてマンツーマンの演説を真剣に聴き入った理沙も。

マスコットガール

 何年も前の早見のスピーチを正確に覚えていたのは(あおい)という名の娘であった。

ライトミドル攻略法.jpg 葵は観光客相手の土産店で働いている。気立てのよい葵は店の看板娘として人気を集めている。

 つい最近、葵の目の前で50歳前後の観光客のおじさんが昏倒する事故が発生した。この地域で救急車を呼んでも来るまでにかなり待たされることを地元住民は誰でも知っている。

パチンコ人気機種.jpg 「大丈夫ですか」と声をかけても返事がない。葵は重たい男性の体を抱えながら店の外に出た。そこには常時、観光客目当てのタクシーが待機している。

 非力な女性が渾身の力を振り絞り、おじさんの体を抱えてふらついている非常事態に気付いた個人タクシーの運転手がすぐに助けにきた。彼は自分の車の助手席におじさんを座らせ、椅子の背もたれを最大限に倒してから診療所に急行した。事情説明のために葵も同行した。

パチンコ裏攻略.jpg 診療所に着いた後は、梅澤の迅速かつ的確な対応によって事なきを得た。おじさんの意識が回復したのを見届けてから葵は診療所を辞した。梅澤の計らいで診療所の送迎用ワゴン車に乗せてもらった葵は閉店間際の職場に戻ることができた。

この村らしさ

 緊急事態とはいえ、許可も取らずに勤務を抜けた彼女は店長から大目玉を食らうことを覚悟していた。しかし、彼女を見つめる店長の目は慈愛に溢れていた。

パチンコの勝率を上げる方法.jpg 「ご苦労さん」という労いの言葉の後の意外な言葉に葵の目が潤んだ。  
「車の料金、いくらだった? おいらが払うよ」

 結構な金額であったが、運転手は葵の差し出した泣けなしの金を受け取ろうとはしなかった。そのことを店長に告げると、彼はしばらく感慨に浸っていた。

パチンコの裏側.jpg 店長は
「この村らしいな」
 と呟いた後、
「まあ、これでも飲め!」
 と明るい声で言い、勤務後に葵が時折、社員割引で買うストレート果汁の林檎ジュースの蓋を開けた。

patinko.jpg 「梅澤先生には後でおいらが連絡する。患者さんの状況を聞いて、必要ならば東京のご家族への連絡なども全部おいらがやるから葵ちゃんはもう帰っていいよ」

 日頃は厳しい店長がいつになく優しかったので、葵は彼を見直した。後日、この日の出来事を店長から聞いた早見は葵のことを頼もしく思うと同時に、店長やタクシー運転手も村の至宝として高く評価した。

 葵は診療所で梅澤に会ったことがきっかけで春美夫人と親しくなり、幼馴染の理沙を春美夫人に紹介した。最大の懸案であった春美夫人に二人の友人ができたことを早見は我が事のように喜んだ。

春美フィーバー

 梅澤の評判は村中に広がり、彼のみならず春美夫人も多忙を極めるようになった。梅澤のお陰で病から回復した村人がお礼の品を携えて、一人また一人と梅澤宅を訪れる。

パチンコに勝つ方法の知恵袋.jpg 人との絆を大切にする春美夫人は全ての来客を丁重に扱った。誰でも気軽に家に上がらせ、珈琲や紅茶を出してもてなした。

 時折、同世代の男性と家の中で二人きりになることもあった。女性にとっては、にわかに危険な状況であるが、小さな村で破廉恥なことが明るみに出れば当時者は誰とも顔を合わせられなくなるので、事件は決して起こらない。

パチンコ勝ち組.jpg いつしか春美夫人は亭主同様、村の大人気者になっていた。

 教養高く、素朴な村人にはない品位を全身から漂わせる「麗人」は亭主同様、他人への思いやりに溢れた人格者であった。そんな彼女に大勢の村人が群がる様子は「春美フィーバー」と称されるようになった。

喫茶Harumi

パチンコに勝つ人の特徴.jpg 春美夫人は理沙を介して、村長の後援会関係の知己も増やした。友人、知人の大半は春美夫人よりもずっと年上の年配者であったが、外見は若くても老成している春美夫人は誰とでも良好な関係を築いた。

 フィーバーが止まらなくなった。知らぬまに梅澤夫妻宅は村人たちの交流の場となり、茶飲み仲間が頻繁に訪れるようになった。気がつけば、春美夫人は喫茶店のママのような存在になっていた。

文芸サロン

 本が好きな春美夫人は話題の新刊書を大量に取り寄せ、読んでみて面白かったものを「常連さん」に譲っていた。

吉村昭 三陸海岸大津波.jpg 本など一冊も読んだことのない人がほとんどであったが、春美夫人に触発され、村人たちは彼女から譲り受けた小説やらエッセイを必死になって読みこなし、自分も感動した暁には、その本を友人にも読ませるようになった。

 熱狂的な観光ブームで沸き立つ村の片隅で静かな読書ブームが起こった。喫茶Harumiは来訪者がお茶を飲みながら読んだ本を論評し合う文芸サロンのような空間と化した。

パチンコ勝ちやすい機種 海物語.jpg アカデミックな世界に無縁であった村人にとって、読んだ本について議論を交わす体験は新鮮そのものであった。文芸サロンは春美夫人を教授とする大学のゼミの教室のようでもあり、そこに集う一同は春美夫人の講評を傾聴していた。

謎めいた沈黙

 そんなある日、梅澤夫妻宅では、三人の読書仲間が死生観をめぐって意見交換を行っていた。

遊パチ攻略法.jpg いつもは饒舌で各自の発表後に総括をしている春美夫人がこの日ばかりは発言が少なく、皆の話をぽかんとした表情で聞き、時折、天井を見上げたりして、明らかに落ち着きを欠いていた。

 春美夫人の薫陶を受けて、すっかりディスカッション慣れした来訪者たちは、迂闊にも「教授」を蚊帳の外にして、白熱した議論を楽しんでいた。

パチプロの勝ち方.jpg 家の戸が開かれる音がした。居間に仕事を終えて帰宅したばかりの梅澤が現れた。
「やあ、皆さん」
 と声をかけた途端、梅澤は笑い声が絶えないいつもの団欒とは違う湿った空気が部屋全体を領していることに気付いた。

未読の本

 ふとテーブルの上に視線を落とすと、著名な作家の著した終活の本が目に入った。死の準備をテーマにしたこの本は春美夫人が作家の知名度と装丁の美しさに惹かれて衝動買いしたものであったが、最後まで読めずに途中で投げ出してしまった経緯があった。

パチンコ解析.jpg 春美夫人は自分が気に入った本だけを友人の間で回覧させていたが、この本は何ヶ月か前の茶話会でたまたま部屋の隅に落ちていたのを親しい友人が見つけて、半ば強引に持ち帰り、仲間うちに流行らせてしまったものであった。

 これはまずい、と梅澤は思った。場の雰囲気を変えたくなった梅澤は
「どうです、皆さん。これから外で夕食を共にしませんか。今日は私の驕りということで」
 と打診した。梅澤夫妻のファンたちは狂喜した。

村長も誘って

 この夕食会には別の目的も含まれていた。早見にも来てほしかった。間髪入れず、梅澤は村役場に電話をかけた。

 「もしもし、梅澤ですが、今、我が家に三人の来客がいらっしゃいましてね、これから皆でご飯を食べに夜の街に繰り出そうとしているところです。村長殿も如何ですか?」
 と言ったところでシマッタと思った。ここは街ではない。

パチンコに勝ち続ける.jpg 早見は予期せぬ梅澤からの夕食の誘いに胸が高鳴った。かねてより、プライベートで梅澤と一杯飲みたいと機を伺っていたが、まさか先方から誘われるとは思わなかった。

 「ま、街? 村の言い間違いでしょうが、喜んでお供致します」
「失礼、以前の職場で同僚と飲みに行くことを夜の街に繰り出すと言っていたもので。ところで、この街、おっとまた失礼、この村でこの時間に営業しているレストランと運転代行サービスはありますか?」
「観光シーズンを少し過ぎていますけど、◯◯亭はまだやっています。先生のご自宅からわりと近くにありますので、今そちらにいる村の者は全員、場所も道も知っているはずです。代行はあるにはあるのですが、ドライバーの数に限りがあって少し不安ですね。でも今夜は飲みましょうよ。今、この役場には残業好きの連中が大勢働いています。私から誰かに頼んで全員を家まで送らせます。では、現地で落ち合いましょう」

お調子者

パチンコに負けない方法.jpg すぐに話がついた。早見が「残業好きの連中」と言った時、すぐそばで電話のやり取りを聞いていた武田という総務課の若手職員が大笑いした。その自虐気味の笑い声が電話口から伝わってきて、梅澤もつられて笑ってしまった。

 早見が電話を切ると、「送迎は僕にお任せ下さい」と武田がすぐに近寄ってきたので、早見は苦笑した。業務内容が限られている小さな役場でどうでもよい仕事を無理に作って残業代を稼いだ上に村長からも小遣いをもらうとは虫が良すぎる。

清濁併せ呑み

ホルコン出玉制御の実態.jpg しかし、早見は武田を筆頭とする常連残業者を「残業代稼ぎ隊」と揶揄しながらも庇っていた。皆、生活に苦しいのである。収賄のような悪事は絶対に許さなかった早見も姑息な残業には目を瞑っていた。

 梅澤が清廉潔白の男であるとすれば、早見は清濁併せ呑む男であった。自己保身のために平気で嘘をついたり、他人に罪を着せたりする下劣な人間とは対決を厭わず、徹底的にやりこめる鬼のような怖さが彼にはあったが、許容範囲内の悪事を働く正直者(?)には仏のように優しかった。

ホルコン 当たり信号.jpg 「残業中の連中」ではなく「残業好きな連中」という言い方は「残業代稼ぎが好きな連中」の短縮表現にほかならない。

 組織のトップにそのように言われれば、普通は邪な残業目的がばれてしまったことに狼狽する。しかし、武田は臆することなく姑息な残業を認め、小遣い欲しさにご一行の送迎役に立候補する図太さまである。早見はこの明るい男を憎めなかった。

 早見は武田に飲み会の会場となる料理屋に役場のワゴン車で午後11時に来るように命じ、財布から一万円札を無造作に抜き出し、武田の手に握らせた。

宴の始まり

 早見が待ち合わせの料理屋に到着した時、梅澤らはすでに郷土料理に舌鼓を打っていた。

海物語魚群の秘密.jpg 「皆さん、お久しぶりです」
 と早見が挨拶すると、梅澤が立ち上がり、用意していた真ん中の席まで早見をエスコートした。早見は軽く会釈して、いつも自分を立ててくれる梅澤の心配りに感謝した。

「今日は心ゆくまで飲んで下さい。勘定は梅澤先生持ちと聞いていますので」

 早見の軽口に一同が笑ったところで、二人娘が姿を見せた。春美夫人が呼んだという。

梅を題材にした小説.jpg「お前たち、うまい飯が食える場所にはいつもいるな。俺の当選祝賀会でも常連だしな」
 早見がいつもの毒舌で二人娘をからかうと、理沙が
「そんなこと言うと後援会の人たちに村長さんのスキャンダルをまき散らしちゃうよ」
 とからかい返し、舌を出して笑った。

「俺にスキャンダルは一つもない。身近にいるお前が一番わかっているだろうが!」
「情にもろい村長さんが役場で働く若い人たちに不要な残業代を与えているって村中にバラしちゃおうかな」

影武者

海殺しX感想.png 子供の頃から村長が大好きであった理沙は成人してから家業の米屋を手伝う傍ら、「影武者の秘書」として早見の雑務をこなしてきた。

 早見からは私設秘書としての給料はおろか小遣いすら受け取っていない。些少なりとも謝金を渡したい早見が何度話を持ちかけても絶対に応じない。

パチンコ神業攻略.jpg 理沙は自ら志願して始めたボランティアに早見が恐縮してお金を払う展開になっては本末転倒であると考えていた。

 社会的常識からすれば、本人が謝金を払いたいと言っている以上、素直に受け取っても全く罪にはならないが、理沙は自分の純粋な善意が結果的に悪意に変質してしまうことを恐れた。

 鋼鉄のような理沙の心は打ち破れず、成すすべのない早見は理沙の両親が経営する米屋から必要以上の米を買ったりしていたが、それでも理沙の献身の度合いには見合わず、理沙の誕生日には彼女の一家全員を自宅に招いて饗応していた。

 理沙が役場の事情に通じているのは、そのような場で酒に酔った早見が口を滑らせて身辺の話を頻繁にするからであった。

爆笑相次ぐ

パチンコマーケティング.jpg「お前にはいつも痛いところを突かれる。俺は自分の後継者として、引退後にお前を村長候補に指名する。今までの恩返しに俺がお前の後援会長になってやる。覚悟しておけ。今度はお前がスキャンダルに怯える番だ!」

海殺しX口コミ.jpg 早見が理沙の目を睨みつけると、村長などになれるはずもない理沙を後継者にするとか後援会長が応援する人物のスキャンダルをばらまくという荒唐無稽な話に一同は爆笑した。梅澤が
「ご恩返しがスキャンダル暴露とは斬新な発想ですね」
 と真顔で言うと爆笑の二重奏となった。人を笑わせることが好きな早見は上機嫌になった。

 「さあ皆さん、今宵は遠慮なくお飲み下さい。皆さんをご自宅までワゴンで送迎する運転手をすでに手配済みです。今、理沙が言った不要な残業代を掠め取っている男が11時頃に来ます」

 再び笑いが起こった。

スーパー海物語IN沖縄6攻略法.jpg「皆さんの車は今晩、ここの駐車場に置きっぱなしにしておいて下さい。明日は同じワゴンで私が皆さんの家を回り、ここまで送迎します。明日は私が皆さんにお昼ご飯をご馳走しましょう!」

 大見得を切った早見に村人たちの興奮は頂点に達した。2日連続でこの料理屋に来ることは村人にとって夢のような話なのである。

海外観光地にて

 早見は数年前に全国町村会の親睦旅行で東南アジアの海岸リゾートに行った時のことを思い出した。

パチンコ 爆発させる方法.jpg マリンスポーツに熱中する白人の若者のすぐそばで、重い積荷を乗せたリヤカーを曳く現地人の姿を見た。

 上半身裸の中年男は極端に日焼けした顔が痛々しかった。富める者と貧しき者の縮図がそこにはあった。

 興味本位に早見は男の後をついて行った。彼は海岸沿いの高級レストランに一軒一軒立ち寄り、清掃用具や洗剤などを販売していた。

パチンコ確率論のウソ.jpg 早見の尾行に気付いた男がデタラメな文法の英語で「自分に何か用でもあるのか?」と訊いたので、早見は片言の英語で"Great job. Get this."と言って、見ず知らずの現地人に10ドルのチップを与えた。

 男は意味不明の不労所得に驚いたが、ただでお金をもらうことに気が引けたのか、破れかけたズボンのポケットから両切り煙草を一本だけ取り出して早見に渡した。

パチンコホルコン攻略.jpg もらった煙草をうまそうに吸いながら、早見は珊瑚礁で煌めく透き通った海を見つめた。水平線の彼方には、生まれ故郷の村がうっすらと浮かび上がっていた・・・

既視感

 酒に酔い、静かに思い出に耽っていた早見は、同じ構図が今、目の前にもあると思った。

パチンコ 要領良く勝つ方法.png 東南アジアのリゾート地で見かけた上半身裸の男は乞食ではないが、きっと食べていくだけで精一杯のギリギリの生活をしているに違いない。訪問販売先のレストランでこの男が飲み食いする日は一生来ないであろう。

 この村では、貧しい村人たちも奮発さえすれば、豪華レストランで食事ができる。しかし、財布の紐が堅い村人たちにとって、そのような浪費は現実的な選択肢とは言い難く、高級店は都市と過疎地の貧富の差をシンボリックに浮き彫りするものでしかなかった。 

次なる課題

パチンコ無料攻略法.jpg 早見は地域経済のさらなる活性化を通じて、村人たちの収入を上げ、都会との格差を解消することが次のステップであると確信した。梅澤らが会食を楽しむ中、早見はビールのジョッキを片手に、年齢的に恐らく最後となるであろう次の選挙の演説内容を考えていた。

乱痴気騒ぎ

 若い理沙と葵がキャーキャー騒いで、飲み会は大いに盛り上がった。

パチンコ収支プラス.jpg カラオケスナックでもないのに、二人はマイクなしのアカペラで流行りの曲を歌ったりして、乱痴気騒ぎを繰り広げた。他県から来た観光客はカルチャーショックに卒倒しながらも、可愛らしい二人に盛大な拍手を送っていた。

 ここに来るまでは寡黙であった春美夫人も次第に陽気になってきて、皆の写真をパチパチと撮り始めた。

パチンコ爆発する台.jpg「現像後にフレームに収めて、押し花つきでプレゼントしますね」

 春美夫人の言葉に年配の村人たちは「もっとハイカラな服を着てくればよかった」と言いながらも、喜色満面の表情を見せた。

重篤な持病

 宴のたけなわを過ぎた頃、梅澤が神妙な面持ちで囁くように言った。

「ところで、皆さんにお知らせしなければならないことがあります。今まで伏せていたのですが、今ここに集っておられる方々は家内と特に親しい関係にあると思いますので・・・」

パチンコの裏.png 一同は梅澤から何か重大な通知があることを察知して、両膝に手を乗せた。

 急に重苦しい空気が流れ始め、梅澤は逡巡したが、意を決して話を続けた。
「実は、家内は血液の病に冒されています。今後は2ヶ月に一回、地元に帰り、三日程度の検査入院をすることになりました」

移住の真意

パチンコ新台.jpg 病名は白血病であった。梅澤はこの村に来る前から妻の余命がカウントダウンに入っていることを予知していた。

 春美夫人の一番の趣味がガーデニングと植物採集であることから、梅澤は美しい自然に囲まれたこの村で妻に有終の美を飾ってほしいと願ったのであった。

落涙

 一同は表情を曇らせた。葵が尋ねた。
海物語好調出目.jpg「先生、命に別状はないんですよね?」
 春美夫人の最初の友となった葵の落ち着きのない目を見て、梅澤はどこまで真実を告げるべきか躊躇した。空気がさらに淀んだ。

 「なんとも言えません。急に容態が悪化して危篤に陥ることもありますし、何年も生きられる可能性も十分にあります」

 梅澤夫妻を除く全員の目から大粒の涙が零れ落ちた。 

パチンコで稼ぐ.jpg つい先程まで終活議論に熱を入れていた三人は春美夫人の口数の少なかった理由が自分たちの思慮の欠如に起因していたことを知り、茫然自失の放心状態に陥った。

 気丈な春美夫人が今まで持病を隠していたとはいえ、何故、もっと早く気付いてあげることができなかったのか、と心優しい村人たちは自分を責めた。

急転直下

 送迎役の武田が到着して宴はお開きとなった。楽しかった会食が急転直下、お通夜のような寂寥に包まれてしまったことを梅澤は悔やんだ。「何年も生きられる可能性も十分にある」という言い方に問題があったことに今頃になって気付いた。

パチンコで勝つためにすること.jpg 梅澤は明日の命も定かではない春美夫人の最悪の成り行きと対比させる形で楽観的な展望も述べ、皆を安心させようとした。願望込みではあるが、その可能性は十分とも言った。

 だが、「あと何年も生きられる」という表現は、まだ38歳の春美夫人が「あと何年かで他界する」と言っているのに等しい。梅澤は話術の未熟さを猛省した。

パチンコ プロの勝ち方.jpg そもそも梅澤は「いつ尽きるかわからない妻の命なので、楽しい思い出を沢山作ってやって下さい」と明るい雰囲気で皆にお願いするつもりでいたが、突然発生した妙な冷気がそれを阻んだ。
  
 村人の落胆ぶりを見て、自分の妻がこれほどまでに人から愛されていることを知った梅澤は目頭を熱くした。

不気味な静寂

 一同を乗せたワゴン車は月夜の薄暗い明かるみの中を静かに走っていた。車中の会話はなかった。畦道(あぜみち)からは蛙の鳴き声だけが夜のしじまに響き渡った。陰鬱なムードを破ろうとして、梅澤が声を発した。

パチンコ連勝確率.jpg「きっと家内は長生きしますよ。この村で大勢のお友だちができましたから。こういうメンタル面が及ぼす影響は大きいんですよ」

 しかし、それが出任せの発言であることを誰もが見抜いていた。すぐに居心地の悪い静けさが戻った。

解かれた謎

 早見は梅澤一家がこの村へ移住した理由がやっとわかった。

 裏山で草花を刈り取っては自宅の庭に植え、楽しそうに育てている春美夫人をこれまでに何度も見てきた。

パチンコ蓄財術.jpg 当初は刺激のない田舎暮らしにうんざりして、退屈凌ぎにこんなことをしているのだと思ったが、よくよく考えてみると、最初に春美夫人を裏山で見かけた時、彼女は慣れた手つきで山菜や草花をむしり取り、二人娘に植物学の講義までしていた。急に始めた趣味とは思えない。

 妻の余命が幾ばくもないことを知った梅澤が大幅な減収を顧みず、妻の趣味が生かせるこの村に越してきたことを思い、早見は胸が熱くなった。


 月光に照らされた同乗者の顔は一様に推理小説を読み解くような表情を浮かべていた。誰もが同じことを考えているに違いない、と早見は思った。

光陰

 6年の歳月が矢の如き速さで過ぎ去った。

パチンコ無料攻略情報.jpg 春美夫人は度重なる貧血症状に苦しんだが、体調の良い日は相変わらず仲間と裏山歩き、植物採集、文学評論などに興じて比較的元気に暮らしていた。

 周囲の人々は笑顔を絶やさない春美夫人を見て、危機的状況はすでに通り過ぎたと胸を撫で下ろした。

生きた証

無医村 小説.jpg しかし、病勢は一進一退を繰り返していた。迫りくる死の影に気付いた春美夫人は、この村で自分が生きた証をどこかに残しておきたいと切に願った。

 彼女は馥郁たる薫りを放つ梅の木をぼんやりと見上げ、生きているうちにあと何回、この美しい花を見ることができるだろうか、と哀しい思索に耽っていた・・・

川釣り

 厳しい冬の終焉の後に訪れる北国の春は村人たちの心まで温める。村人たちの交流が再び活気を帯びてきた。

三浦友和 ドラマ.jpg 梅澤は中学生になった二人の息子と小学生の末っ子を連れて、休日は川での釣りを楽しんでいた。梅澤の姿を発見すると、村人たちはまるで芸能人に群がるミーハーなファンのように彼を取り囲んだ。

 家族水入らずのひとときを邪魔されても、梅澤は嫌な顔ひとつせず、釣った魚を希望者に譲っていた。

変わり果てた容姿

 青葉の薫る季節になった。早見は村長室で各部署から上がってくる月末資料に目を通していた。ドアをノックする音がした。総務課の武田が入ってきて、来客の訪問を告げた。

「誰だい?」
「梅澤先生の奥様です」
「お通ししろ」

田野畑村村長.jpg 公務に忙殺される日々が続き、春美夫人とはしばらく会えていなかったので、早見の胸はときめいた。

 武田に伴われて入室した春美夫人は
「ご無沙汰しております」
 と言って深々と頭を下げた。

「お元気そうで何よりです」
 うっかり型通りの挨拶をしてしまった後、早見は思わず息を飲み込んだ。

無医村に花は微笑む 伊藤蘭.jpg 数カ月ぶりに見た春美夫人の容姿は激変していた。相変わらず美人ではあったが、はち切れるような若さは跡形もなく消えていた。肌の乾燥が酷く実年齢よりも十歳以上若く見えた彼女が今では年相応、いや実年齢よりも老けて見える。早見は春美夫人の病状が猛烈な勢いで進行していることを知った。

梅の苗木

 春美夫人はビニール袋に入れた小さな木を持参していた。

田野畑村 小説.jpg「なんですか、これ?」
「梅の苗木です。今、お世話になった方々に配っておりまして、差し支えなければ、早見さんにも受け取っていただけないかと・・・」

 一年ほど前、学校の父兄会に体調の優れない春美夫人が行けなかった時に早見が梅澤夫妻の息子の親代わりになって出向いたことがあった。はじめは梅澤が時間のやり繰りをして出席する予定であったが、急患が出た関係で春美夫人が早見に懇願したのであった。

パチンコ初心者攻略法.jpg 村長というものは暇な時は何もすることがなく、私用外出も自由にできる立場なので、恐縮する春美夫人に早見は「お安い御用です」と代役を引き受けた。

 春美夫人にしてやったことと言えばこの程度のことしか思いつかなかった早見は高過ぎる返礼品に顔をしかめた。又、一年も過ぎてからお礼をされるのも不自然であり、早見はその真意がすぐには見抜けなかった。

 「お世話をした覚えはないのですが・・・」
「素敵な村に住ませていただいたことへの感謝の証です。ご自宅のお庭に植えていただけないでしょうか」

海物語極JAPAN攻略サイト.jpg なんとなく空気が読めてきた早見はなんとも形容し難い複雑な心境になった。

 春美夫人がこの村を愛していることは、今ではもう疑いようのない事実である。これほど嬉しいことはないが、死期を悟った春美夫人がゆかりのあった人々に形見を残しているように思えてならなかった。

「ありがとうございます。きっと女房も喜ぶでしょう」
 早見は春美夫人の真心を空虚な心で受け取った。目の前の麗人の瞳は死を間近に控えた者が放つ哀しくも玲瓏な光を浮かべていた。早見はそれに射抜かれた。春美夫人は何か思い詰めるような目で早見の顔を見つめ、しばらくしてから別れの言葉を口にした。

「今日はこれでお暇します。こんなに小さな木ですが、3年か4年で花を咲かせます。最速で1年です。大事に育てて下さいね」
 と言い残し、彼女は部屋を出ていった。

 早見は春美夫人の余命が3〜4年、もしくは1年しかないのではないかと不吉な予感に襲われ、彼女とのこれまでの思い出が走馬燈のように甦ってきた。梅澤がこの村を去る日もそう遠くないと思った。

天道とは

司馬遷 名言.jpg 一人になった村長室の一角で早見は泣き崩れた。美人薄命とは言うが、春美夫人がまだ44歳であることが不憫に思えた。

 古代中国の歴史家、司馬遷のように、早見は自問自答を繰り返した。天道は是なのであろうか非なのであろうか、と。

遠来の患者

 診療所は村の住民はもとより他村、他県の病人まで集めるようになった。

名医 岩手.jpg 遠方からの患者は医師に不信感を募らせる人が少なくなく、特に地元の病院での治療がうまくいかないことに業を煮やした人が梅澤の評判を耳にして、助けを求めて来院するケースが目立った。

 初夏の日差しが強まった日に仙台のやぶ医者の誤診被害に遭った男性が車に乗って診療所にやってきた。

 彼が言うには、片足に赤みを帯びた斑点のようなものができたので、皮膚科クリニックで診てもらったところ、「とびひ」(伝染性膿痂疹)と診断され、処方された軟膏をいくら塗っても快方に向かわず、足の不快感は増す一方であるという。

大海物語シリーズ攻略法.jpg この患者は素朴な村人とはどことなく違う雰囲気を醸し出していた。待合室では英字新聞を読んでいた。

 梅澤はさり気なく患者の職業を尋ねた。家具の輸入業者であった。梅澤は彼が着ている垢抜けた衣服に目を光らせた。

一瞬で見抜く

 患者の足の斑点を眺めながら、梅澤はゆっくりと話し始めた。

「断定はできませんが、これはとびひではないと思います。静脈血栓の可能性が考えられます。今から車でご送迎しますので、県立病院で精密検査を受けて下さい」  

パチンコ攻略ノウハウ.jpg 患者は検査もせずに病名を告げた梅澤を不審に思ったが、それよりも静脈血栓という病の危険度の方が気になり、
「先生、それはやばい病気なんでしょうか」
 と不安そうに尋ねた。
「ずっと放置して静脈にできた血栓が肺に達すると深刻な事態を引き起こしますが、通常は医療ガードルで足をきつく縛りつけて血行を良くするだけで治りますよ」

 患者がホッとした表情を見せると、梅澤は彼の緊張をほぐすために雑談を始めた。

「ところで、先程から気になっていたのですが、今、お召しになっているシャツはデザインが洒落ていますね。夏服なのにサンタ・クロースの刺繍があるということは、もしかして北欧製ですか?」
「はい。コペンハーゲンに出張した折に買いました」
「海外出張は頻繁にありますか?」
沖海シリーズ攻略法.jpg「はい。デンマークが中心ですが、家具の見本市などで最低でも年に数回は行きます。商談が進んだ時は取引先の工場の視察やら監査で渡航頻度が増します。最近は毎月のように行っていますね」
「そうでしたか。静脈血栓という病気は飛行機によく乗る人に発症傾向がありましてね、北欧のような長距離飛行の場合は長い時間、足を狭苦しい場所に置いてじっとしているでしょう?」
「エコノミーなんとかという症候ですか」
「然様でございます。足の血行が悪くなると血栓が生じやすくなるんです。まだ確定ではありませんが、精密検査を受けてみて下さい」

 数カ月以上も無意味な軟膏を塗り続け、病状が悪化の一途を辿っていた患者は不安のどん底に突き落とされていたが、漸く解決の糸口が見え始めた。

驚異の眼力

 診療所の運転手が患者を県立病院に運んだ。梅澤は県立病院の医師に連絡を取り、静脈血栓を疑って検査をするようにと具体的な指示を与えた。

スーパー海物語IN JAPAN3.jpg 県立病院では無駄な検査が省かれ、ピンポイントの検査が実施されたため、すぐに病因が判明した。梅澤の眼力に狂いはなく、静脈血栓であった。

 患者は医療ガードルで足を縛られた状態で診療所に戻ってきた。

 すでに県立病院からの電話報告で検査結果を知っていた梅澤は
「由々しき事態に至らなくてよかったですね」
 と微笑んだ。

医師の嗅覚

 患者は自分の職業とシャツを手掛かりに病名を言い当てた梅澤の迸る才気に驚愕した。

甘デジ海物語攻略法.jpg 北欧が高級家具の名産地であるという予備知識に北欧までの飛行時間という判断材料が加わってはじめて成り立つ推理である。それを可能にしたのは患者のファッションセンスに着目した梅澤の鋭い嗅覚であった。

 梅澤は予め用意していた紹介状を手渡し
「これを持ってご自宅から近い病院に行って下さい。血栓は小さなものだったようですし、数も多くはなかったようですので、血栓を溶かす薬を服用すれば、多分、2ヶ月前後で完治するはずです」
 と言った。

危機一髪

 やぶ医者に騙され続け、無意味な塗り薬の使用を継続していれば、やがて血栓が肺に飛び、命を失う危険もあったと思うと、彼はぞっとした。早見が提唱する予防医学の重要性を梅澤はことごとく証明した。

海物語 ライトミドル 攻略法.jpg 県立病院では多くの専門医が梅澤の天才的な能力に舌を巻いた。婦人科が専門なのに畑違いの分野の病にまで精通している梅澤を医師たちは雲の上の人としてますます礼して遇するようになった。

一杯のジュース

 猛暑の日々が続くようになると、体調を崩して診療所に来院する村人の数が急増した。彼らが申告する体の異変の大半はたいした問題ではなく、久々に梅澤に会いたい人たちの口実であったが、梅澤はそのような人々を愛おしく思った。

ライトミドル攻略法.jpg 梅澤は小型冷蔵庫を診療室に置き、農協から箱買いした梅ジュースをその中に入れた。

 患者の診察はあっというまに終わってしまう。これでは貴重な時間をかけて自分に会いにくる純情な村人に申し訳ない。

小説 新人賞.jpg「猛暑日が続いていますので、水分の補給は小まめに行って下さい」
 とニュースのアナウンサーが時間が余った時に言うような台詞を梅澤がアナウンサーの口調を真似て口にするたびに患者からは笑い声が漏れた。

 「さしあたり、これでも飲んで喉を潤して下さい」
イチパチ攻略法.jpg と梅澤が冷蔵庫から冷えた梅ジュースを差し出すと、どの患者も感激した。中には次の患者が待合室に入る足音が聞こえるまで、喫茶店よろしく梅澤と世間話に興じる人もいた。

 梅澤は一杯のジュースを使って村人たちとの絆を深めながら、自分がこの村にあと何年いられるだろうか、と近い将来に訪れるであろう村人たちとの別れを思い、患者が去るたびに深く嘆息した。

灰色の風景

 11月、暑かった夏が幻であったかと思えるような寒波が村を覆った。木枯らしの1号が吹き荒れ、紅葉の時期が終わると、村を訪れる観光客の数もまばらとなり、寂しさと厳しさしかない北国の冬が到来した。

海物語シリーズ新機種攻略法.jpg 色を失った景色の中で、早見は自宅付近の砂利道を歩いていた。自分自身のこれまでの歩みに思いを巡らせ、村長就任以来、早見ははじめて満ち足りたものを感じた。

 産業振興の成功と診療所の設置は彼の成した二大偉業として、村人からの絶賛を勝ち得たが、早見は梅澤夫妻をこの村に住まわせたことが最大の業績であると信じて疑わなかった。

輝きの村

 たった二人の人物が寂れた寒村を光り輝く村に変えた。

花笑みの村.jpg 都市部との収入格差の解消はいまだに棚上げされた状態であるが、こればかりは成るようにしか成らないと開き直るようになった。

 それよりも梅澤夫妻と交流した村人たちの顔が皆一様に輝き、老いも若きも男も女も、金銭的な価値では測ることのできない幸せをかみしめていることが思いもかけぬ僥倖であった。

幸せのリレー

パチンン個攻略情報.jpg 幸福は伝播する。幸せな人は誰にでも思いやりをもって接する。それに幸せを感じた人が周囲の人々に同じことをしていくうちに地域社会体の幸福指数が上がる。

 思いやりに満ちた人は、腹立たしいことがあっても他人を許す心の余裕がある。逆に他人への憎悪で心が荒れている人は、ちょっとした不満でもキレやすく、思いやりではなく「重い槍」を持って平気で他人の心を刺し抜いてしまう。

夢想

 村長職も5期目に入り、すっかり年老いた早見は、次期村長には梅澤が相応しいと思った。この村の太陽とも言える梅澤が村長になれば、太陽を囲む無数の星もその輝きを増すであろう。

夢物語.jpg 気心が知れていて人生観、価値観が酷似している梅澤ならば理沙と二人で後援会を立ち上げてもよいと思った。

 天職である医師業を辞めて、新天地に踏み込む意志が梅澤にあるとは思えないが、彼がその気にさえなれば、不慣れな政治、行政の仕事は自分がいくらでもサポートすることができよう。理沙のように自分が無給で秘書をやってもよいと思った。

海物語 魚群.jpg 5時を告げる寺の鐘が鳴った。辺りが急に暗くなり、夢物語の中で踊っていた早見の心は現実の世界に戻された。春美夫人の容態が気になり始めた。早見は馬鹿げた空想に耽っていた自分自身に呆れた。

 春美夫人が若くして亡くなれば、梅澤がこの村に住む理由もなくなるのだ・・・

葵との触れ合い

ホルコン制御.jpg 年が明けた。成人の日の祝日に葵がお年始と称して早見の自宅に遊びにきた。かつての成人式で村長のスピーチに感激した葵はこの記念すべき日に師として仰ぐ早見に会いたいという欲求がその日の朝になって芽生えた。

 葵のアポなし訪問に慣れ切っている早見は少しも驚かず、新年の祝詞を交換し合った後、「入れ」と言って、彼女を居間に通した。

真のパチンコ攻略法.jpg 葵は社員割引で買ったアップルパイを早見に差し出し、すぐに台所に行って勝手に冷蔵庫を開けた。

「何かいいものないかな」と物色する葵を早見も妻もニコニコしながら眺めていた。梅澤夫妻を通じて急速に葵とも親密な関係になった早見にとって、今では葵も理沙のように家族同然の存在なのである。

 早見には二人の息子がいるが、いずれも結婚して東京で暮らしている。早見夫妻と葵はお茶を飲みながら息子たちから入ってくる首都の最新情報の話題で盛り上がった。

パチンコ期待値.jpg カラオケボックスという遊興施設ができて、今では酒場に行って高い金を払わなくても、歌が歌えるという話を聞き、歌好きの葵は目を輝かせた。

小さな蕾

 帰り際、葵は庭に植えられた梅の苗木を見て、「あっ」と叫んだ。
「ねえ、見て、見て。蕾ができてるよ!」 
パチンコに負けない方法.jpg 小さくて気づきにくかったが、たしかに苗木は蕾を結んでいた。葵は自分の苗木にも理沙の苗木にもまだ蕾はできていないと言っていた。

 春美夫人からは花が咲くまで最速で一年と言われたが、もしかしたらもうじき開花するかもしれない。

「よし、花が咲いたら、ここで花見酒だ。どんなに寒くてもやるぞ! メインゲストはもちろん春美さんだ。お前も友だちを連れてこい」
「お酒の肴は私が社員割引で買ってくるわ」
「おお、それは名案だ。ついでに店長も連れてこい」
 二人は子供のように無邪気にはしゃいだ。

パチンコデータ解析.jpg 早見の妻は「師弟」の温もりに満ちた会話に耳を傾け、働きすぎの夫の末永い健康と春美夫人の全快を祈りながら、できたばかりの小さな蕾をいつまでも見つめていた。

突然の電話

海物語攻略研究.jpg 3月の上旬に早見は東京に出張した。全国町村会主催のセミナーで講演を終えた後、早見はホテルの一室で窓外に広がる鮮烈な夕映えを眺めていた。林立する摩天楼のビル群が別世界に来たことを物語っていた。

 突然、部屋の電話が鳴り、受話器を取るとフロントの交換手が
「お電話が入っておりますのでお繋ぎします」
 と言った。

光芒一閃

パチンコ攻略指南.jpg 観光課の工藤からの電話であった。早見は息を殺して工藤の悲しげな声を聞き続けた。ひとしきり工藤の話を無言のまま聞いた後、早見は心の平静を取り戻すために大きく深呼吸した。

 春美夫人の訃報であった。

巨星墜つ

海物語好調出目.jpg 来たるべき日が来てしまった。村の太陽が梅澤ならば、無数の星の中でひときわ大きな星が春美夫人であった。享年45歳。あまりにも早過ぎる死であった。

「すぐに連絡してくれてありがとう。明日、俺の家に行って女房から喪服一式を受け取り、ここまで届けてくれ。二人で葬儀に出よう」

パチンコ攻略エッセイ.jpg これしか言わず、早見は静かに受話器を置いた。気持ちの整理ができなかった。覚悟はしていたが、この日がこんなにも早く訪れるとは思っていなかった。

花開く前に

パチンコ勝率.jpg 早見は鞄の中から便箋を取り出し、春美夫人への思いを綴り始めた。頼まれてもいないのに弔辞を読むことにした。

 今まで弔辞を頼まれることは多かった。しかし、過去の弔辞は全て紋切り型の平凡なものにすぎなかった。極端に短ければ誠意に欠けるので、故人と親しかった人からなんらかのエピソードを聞き出し、原稿を少しでも長くすることに苦心した。

パチンコに勝つ方法 立ち回り.jpg 今は全く正反対の状況にある。心を込めて書くあまり常軌を逸した長文になってしまう。早見は何度も便箋を破り捨てた。推敲を重ね、脱稿した時はすでに日が変わっていた。

 原稿は「貴方からいただいた梅の木が花を咲かせる前に、貴方とお別れしなければならないことが無念でなりません」と結ばれていた。

無気力

 葬儀は翌日に春美夫人の木更津の実家で執り行われる段取りになっていた。

リヴィエラ倶楽部 小説.jpg 時刻は午前3時を回っていたが、早見はなかなか寝つけなかった。窓に朝の陽ざしが差し込むと倒れるように眠りに落ちたが、数時間も経たぬうちに目が覚めた。日中は何もする気が起こらず、ずっと室内に閉じこもり、弔辞の原稿を読み直しては修正を入れていた。

パチンコ テクニック.jpg 夜の帳(とばり)がおりる頃、工藤が役場の重役を伴ってホテルに着いた。重役は梅澤夫妻と直接の接点を持たなかったが、役場の弔意を表すために葬儀への参列を自ら志願した。

 村長が顔を出せば、十分に村を代表したことにはなるが、早見が梅澤夫妻と親しすぎて友人としての参列になってしまうと考えた彼は、この日の朝に早見と連絡をとり、役場からの参列者に故人とかかわりを持たなかった役職者を一人くらい含めた方が如何にも公的な弔問という印象を与えると主張した。

 早見はそんな理由までつけてここまで来てくれた重役と喪服の件で手を煩わせた工藤に礼を述べ、
「木更津は遠い。今夜は早目に就寝しよう」
 と元気のない声で言った。

 長旅に疲れている二人に夕食を驕ってやりたいとも思ったが、寝不足と得体の知れぬ虚脱感に襲われ、早見は足早に自室に戻った。工藤と重役も早見と同じホテルに宿泊した。

いざ木更津へ

パチンコ攻略術.jpg 次の日の朝、早見ら三人は東京駅から特急さざなみに乗って木更津駅に着いた。タクシーに乗り換え、春美夫人の実家に到着したのは正午前であった。すでに僧侶の読経が行なわれており、三人は焼香を済ませて、喪主の梅澤に一礼した。

信じ難い光景

 一旦、家の外に出た早見は不思議な光景を目にして、その場に呆然と立ち尽くした。

 遠くの方から列を成した7台のマイクロバスが徐行しながら近づいてくる。車間距離がほとんどなく、まるで電車が路上を走っているかのように見える。

パチンコ勝利の方程式.jpg どのバスのナンバープレートにも「岩手」の二文字が刻まれていた。

 先頭のバスが春美夫人の実家の前で停まると、顔見知りの人間が次々と降りてきた。はじめに診療所婦長役の美津子と他の看護師が下車して、続いて梅澤に恩義を抱く人々、春美夫人の友人らが大挙して押し寄せてきた。もちろん、二人娘もいた。彼らは玄関の前に立つ早見の前で恭しく頭を下げ、家の中に入っていった。

 スーパー海物語IN JAPAN3導入日.jpgその数は200人をゆうに超えていた。誰かが言い出してバスを貸し切り、皆で費用を分かち合い、ぎゅうぎゅう詰めになりながら、夜を徹してここまで来たのだ! 

 早見は感動で胸が震えた。

珍客

パチンコデータ分析.jpg 最後のバスからは顔見知りというよりも見慣れ過ぎた人物が降りてきた。総務課の武田であった。まだ若く職位の低い武田は公費で出張する権限がない。公休扱いにもならない。早見を見つけた武田は有給休暇を申請したことを打ち明けた。

清らかな心

 武田は梅澤とも春美夫人とも数えるほどしか会っていない。ろくすっぽ会話もしていない。

 武田は村人たちから梅澤夫妻にまつわるいろいろな話を聞き、二人とも尊敬していると日頃から語っていたが、お調子者の彼のことなので早見はその言葉を額面通りには受け取っていなかった。  

パチンコに勝つコツ.jpg 早見は武田に手招きをして財布に手を伸ばしかけた。旅費を恵んでやろうと思ったが、そうすることが武田の清らかな心を踏みにじるような気がして、寸手のところで踏みとどまった。

 しかし、武田を誘って歩き始めてしまった手前、何か話をしなければならなくなった。早見は自腹を切ってまで葬儀に参列した武田を褒めた。武田は持ち前のひょうきんさを発露して、
「先月稼いだ残業代が吹っ飛びましたよ」
 と言って、白い歯を覗かせた。

異邦人との語らい

無料パチンコ攻略法.jpg 「武田君、一つお願いをしてもよいかな?」

 不意を突かれた武田はきょとんとした表情で
「なんでしょうか?」
 と尋ねた。
「春美さんへの弔辞を俺が読む予定なんだけど、頼まれたわけじゃないんだ。葬儀社の人の所に行って、話をつけてきてくれないか。自分で言うのは格好悪いからな」

パチンコで蓄財.jpg 武田はすぐに走った。家に入り、焼香を済ませてから全体を仕切っていた葬儀社の社員のところまで行き、早見の意向を伝え、交渉を始めた。

 その間、早見は梅澤の友人、知人らと名刺交換をして、「弔問外交」に忙しかった。医師仲間、大企業の社長、弁護士、ジャーナリスト等、多士済々であったが、早見は村のセールスマンとして、村のPRに余念がなかった。

 早見の話に興味を覚えた人から村の特産品について訊かれた時、早見は葵が勤める土産店の店長を紹介した。早見は必要に応じて、梅澤及び春美夫人の関係者と村人たちと引き合わせて、団欒に花を咲かせた。

 早見が間に入るだけで緊張がなくなり、村人たちは滅多にない「異邦人」との語らいを存分に楽しむことができた。

 外に戻ってきた武田が
「弔辞の件はOKとのことです。そろそろ読経が終わります。急いで中にお入り下さい」
 と準備を促した。

 早見が再び家に入ると、葬儀社の社員と雑談していた村の重役が
「今、入ってきた者が村長の早見です。先程、武田から話があったと思いますが、弔辞を用意しております」
 と言った。

前代未聞の弔辞

 葬儀社の社員はマイクを取り、
パチンコ攻略法の老舗.jpg「ここで梅澤春美様と親交の深かった早見将平様よりお悔やみのお言葉を頂戴致したく存じます。早見様は梅澤春美様が心から愛された三陸海岸の村の村長様でございます」
 と早見を紹介した。

パチンコ収支管理.jpg 人数が多すぎて、参列者全員が家に入ることは到底できない。村人の大半は庭や外でマイクを通して聞こえてくる早見の声に耳を澄ませていた。葬儀社の社員が気を利かせてマイクの音量をマックスにした。

 早見のスピーチは堂々たるものであった。大観衆を前に大音量のマイクで話すのは選挙活動で慣れている。男らしい野太い声で、いつもとは違う東北訛りのほとんどない流暢な標準語で、早見は弔辞を読み上げた。

パチンコ副収入.jpg 感情を抑制した冷静沈着な声色で故人との美しい思い出の数々を語る早見のスピーチに村人たちは酔いしれた。閉ざされた社会の中で限られた人々としか交流しない自分たちとは違うスケールのでかさを感じた。

 村人たちは人前で話す機会の場数を踏み、如何なる場所でも見事なスピーチで場を盛り上げる早見を誇らしく思った。都会人や社会的地位の高い人物とも対等に渡り合う早見を改めて尊敬した。

 淡々と淀みなく朗読を続けていた早見であったが、スピーチの終わりに近づいて「貴方からいただいた梅の木・・・」と言いかけた途端、声が出なくなった。急に嗚咽が漏れ始めた。

パチンコブログ.jpg 近くにいた理沙が急いで駆け寄り、ハンカチを差し出した。感極まった早見は溢れ出る涙を拭うと、精神の錯乱をきたし、手にしていた便箋を理沙に渡して退いてしまった。

 予期せぬハプニングに動揺した理沙であったが、早見が無言で指差した便箋上の箇所に視線を落とし、たどたどしい口調で続きを代読した。

「貴方から いただいた 梅の木が 花を咲かせる前に 貴方と お別れしなければならないことが・・・」

 今度は理沙が絶句した。目を真っ赤にした早見が慌てて戻った。素早くハンカチを返してマイクを奪うや否や
「無念でなりません!」
 と涙声で絶叫した。

 辛うじて最後は自力で締め括った早見が力なくお辞儀をすると、我に返った理沙も一緒に頭を下げた。

 二人は葵と工藤に伴われて控室に消えた。

梅澤の去就

パチンコ必殺技.jpg 翌日、村に戻った早見は診療所を訪ねた。梅澤の今後のことが気になったからである。入口には「しばらくの間、休診します」と書かれた貼り紙があった。美津子が所在なさげに外の落ち葉掃きをしていた。

 早見が
「昨日は遠路はるばる御苦労様でした」
 と言うと、美津子は
「あの弔辞には泣かされました」
 と心中の思いを吐露した。美津子も春美夫人から梅の苗木をもらった一人であった。

「ところで、梅澤先生は?」
「しばらくお休みされるそうです」
「いつまで?」
「わかりません。奥様の急逝で心に大きな穴があいたと仰っていました。先生は有給休暇が20日以上も溜まっていましたので、その日数だけ知らせました」
「全部消化した場合、今月いっぱいは休診になりますな」
「私、もう先生がお戻りにならない気がして・・・」

パチンコ必勝法.jpg 美津子も同じことを考えていた。近々、梅澤からなんらかの連絡があるに違いない。

「梅澤先生は辞意を仄めかすようなことを口にされていましたか?」
「具体的には何も。でも、今後の身のふり方を考えるための時間がほしい、と」

パチンコ裏技.jpg 早見は梅澤が辞表を提出するのは確実だ、と思った。7年間、楽しい夢を見ることができた。これに満足して今は心を入れ替えなければいけない。

 梅澤に支払う退職金の準備や次の医師を雇うための求人広告など、新たな仕事が山積している。これらの件を担当職員と協議するため、早見は急いで役場に戻った。

募る焦り

パチンコ攻略塾.jpg 3週間が過ぎたが、梅澤からの連絡は途絶えたままであった。律儀な梅澤は書面の送付だけではなく、必ず面会した上で辞意を表明するに違いないと考えていた早見は長期間の音沙汰なしにさすがに焦りを感じ始めた。

梅澤現る

 梅澤の有給休暇の最終日、夕刻になって役場の外で車が停まる音がした。職員が総立ちになった。車からは長身の男が降りてきた。

海殺しXの検証.jpg 「梅澤先生だ!」
 誰かが叫ぶと、一階の全職員が仕事を放り出し、外の駐車場まで一斉に走っていった。早見は彼らのせわしない動きを目にしながら、敢えてその輪には加わらず、静かに村長室に戻った。

別れの儀式

海物語の出目.jpg 外で再会を喜んだ後、中で辞表を受け取る成り行きだけは避けたかった。別れの儀式は荘厳かつドラマティックにやりたかった。

 村長室の扉をくぐった梅澤に、機先を制して別れの挨拶をする。驚いた梅澤が「わかっていたのですね」と言う瞬間を捉え、今までの功績に感謝の意を表する。梅澤が差し出した退職願いを開封せずにそのまま返す。形式上は退職を受理するが、今後は診療所の名誉所長として名を借りたい旨を伝え、本人の了承を得る。こんなシナリオを思いついた早見は早くもスタンバイした。

 ところが、待てど暮らせど梅澤は入室しない。役場の外からは時折、笑い声が聞こえてくる。どうやら職員たちとの立ち話が長引いているらしい。痺れを切らした早見は外に出た。

急進展

カシオペア攻略術.jpg 早見の姿を認めた梅澤は
「長い間、ご迷惑をかけました。もうここにいらっしゃる方々には話したんですが、子供の転校手続きやら役所への書類提出等にふり回されて、連絡ができませんでした。ごめんなさい」
 と詫びた。

 折角のシナリオが崩れてしまった。これより先は臨機応変に立ち回るしかない。早見が
「そういうことだったんですね。今まで本当に・・・」
 と言いかけた瞬間、遮るように梅澤が
「三人の息子は家内の実家で面倒を見てもらうことになりました」
 と畳み掛けたので、早見の頭は混乱した。

 急な話の進展と噛み合わぬ会話に、早見は状況判断能力を失った。周囲を見渡すと、職員たちの明るい笑顔があった。皆を代表する形で工藤が声を張り上げた。

神秘の回転数.jpg「このたび、梅澤先生の単身赴任が決定致しました!」

 万雷の拍手が起こった。
「単身赴任?」
 頭の中で梅澤との別離が既定事実となっている早見はこの段階に及んでも言葉の意味を掴み切れずにいた。梅澤が村に残ることになったと理解できたのは、ある職員の戯言を聞いてからであった。

 「村長、梅澤先生との宴会はなるべく平日の夜に開いて下さいね。もちろん、帰りの送迎は僕がやります」
 武田が言うと、7年前の出来事を思い出した残業仲間が苦笑いした。

大決断

 梅澤は改めて音沙汰なしの非礼を詫びた。
「連絡が遅れて大変失礼しました。実は休暇中に同業者からいろいろな仕事のオファーがあったんですよ。どの話も条件の良いものばかりでした。大病院の院長とかね。私も52歳の働き盛りですから悶々と悩みましたよ。でも、結局は全部断りました」
東北地方を舞台とした小説.jpg 「貴方ほどの才人が何故?」
 早見が怪訝そうに尋ねると、梅澤は吹っ切れた表情で語り始めた。

「家内の葬儀では、早見さんに素晴らしいスピーチをしていただきましたし、あんなに大勢の方々が駆けつけて下さった。辞めるわけにはいきませんよ。私は義理を軽んじる人間にはなりたくない・・・」

神秘の舞い

 早見は稲妻のような感動に心を打たれ、ただひたすらに頭を下げ続けた。

「家内が親しい人たちに託した幼木が立派な大木に成長するまで、私はこの村に一人で住み続けます」
 と梅澤が宣言した時、突然、神秘的な光景が現出した。

海殺しX 効果.jpg 天空から鳥の鳴き声が聞こえ、仰ぎ見ると、異様に大きな麗しい鷹が茜の色に染まった夕空を、目まぐるしい速さで縦横無尽に駆け巡っていた。

 その華麗な舞いに一同はしばし見とれた。早見はこれを天が与えたもう祝福の記章と解した。

 役場を囲む樹木からは早くも仄かな梅の薫りが漂い始めていた・・・

エピローグ

 梅澤 誠は妻の死後、12年間に渡って医療・福祉の分野で村の発展に尽力し続けた。来村してから19年が経過した2002年、体力の衰えを理由に惜しまれながらも引退した。その後、梅澤夫妻をモデルにしたドラマや小説を通じて、村は再び脚光を浴びた。

 2011年、東日本大震災が村を直撃して、甚大な被害を生み出した。村人たちは不屈の闘志で団結して、この試練を乗り越えた。

パチンコ統計.jpg 2019年7月14日、梅澤夫妻の活躍を称える顕彰碑が建立され、除幕式には老齢の梅澤に代わり、二人の息子が出席した。

 石碑には「花笑みの村」と揮毫され、春美夫人がこよなく愛した梅の花の絵が彫り込まれている。(了)










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